護られなかった者たちへ
全身を縛られたまま“餓死”させられるという不可解な連続殺人事件が発生。捜査線上に浮かび上がったのは、過去に起こした事件で服役し、出所したばかりの利根という男。刑事の笘篠は利根を追い詰めていくが、決定的な確証がつかめないまま、第三の事件が起きようとしていた―。なぜ、このような無残な殺し方をしたのか?利根の過去に何があったのか?さまざまな想いが交錯する中、やがて事件の裏に隠された、切なくも衝撃の真実が明らかになっていく― 重たい題材である。理不尽な社会、誰が悪いのか?人か法律か社会か行政か。弱きものは、ひとたび災害や恐慌や予期しない突発の事件事故に巻き添えを食うと、這い上がれなくなる。本来はそういう人達の最後の命綱、生活保護に係わる事件から社会の歪を描く。