映画鑑賞感想    「人間の絆(痴人の愛)」        1935年アカデミー賞主演女優賞(ベティ・デイヴィス)ノミネート!ロンドンの医学校に通う足の不自由なフィリップ(L・ハワード)は学校近くの料理店の女給ミルドレッド(B・デイヴィス)に夢中になる。彼は彼女に求婚するのだが、彼女は浮気者で男出入りが絶えず… (C)PDClassic

 英国の小説家、サマ~セットモ-ムの小説を映画化したものである。1934年に映画化されたものでかなり古い。今から80年前といえば、まだ私は生まれていない。私らの世代では大学の入試でサマ-セットのサミングアップが英語入試の題材によく使われるとか聞いたことがある。私の高校は田舎の進学校で、高三には教科書は全て終了しているので、高三の英語の授業は、英語教師が適当に選んだ教材で授業が行われる。そんな中で読まされたモ-ムのサミングアップ。モ-ムの人生の回想記の随筆。サマーセットの小説を最初に読んだのは中学の夏休みの宿題の読書感想として読んだ「月と6ペンス」が最初と記憶する。サマーセットの小説は大衆小説のジャンルに属し、高校くらいの英語力で読み込める、どちらかいうと軽い小説の部類。

 この映画では、ぴっこの障害をもつ医学生が悪女を愛してしまったばかりに、その悪女に翻弄され、お人よしとも思われるほどに献身的に助ける主人公、そしてその医学生を純真に愛する女性との関り、特に悪女に翻弄される部分に大部分を費やしている。最後はハッピ-エンドで終わる。男はややもすると悪女にひかれる。何故惹かれるのかは謎だが、私にもそんな経験がなきにしもあらず。どちらかというと、慎重モードの私には、そんな悪女の心が半分見えてしまうので、危ない経験をする前に逃げてしまう。そんなわけで、この主人公のような辛い経験はしたことが無いが、小悪魔に惹かれる男心は少し理解できる。最近観た映画「カジノ」も悪女に振り回される主人公を描いていたが、映画や小説の題材としては悪女ほど面白い題材は無いように思う。悪女そのものの悪態も面白いが、それに翻弄される悲しい男の態様も面白い。特に美女悪女に翻弄されると男は逃げようとしても簡単には逃げきれない、そんなストーリ-の映画や小説を数多く観た、読んだ。これは大戦前のモノクロの映画で、ストーリ-もかなりシンプル。

 モ-ムの小説で有名なものは「月と6ペンス」。中学の夏休みの読書感想の宿題で読んだものである。小説の題材は、印象派の画家として有名な、タヒチでの島の女を数多く描いた画家ゴーギャン。天才画家というものは生きている間は評価されないという悲劇の人生を送る者が多い。ゴーギャンの親友でもあったゴッホもそうである。ゴーギャンの人生も数奇ではあるが、小説家モ-ムも又興味深い人生を送っている。もともとモ-ムの親戚は、いわゆる上流階級のようで、両親は英国人で、父はパリのイギリス大使館勤務の顧問弁護士、母は名家の軍人の娘という出身で凄い美人とか。幼くして両親を亡くしたが、叔父とかの扶養を受け医者になり、軍医&諜報員としてロシア、ヨーロッパを渡り歩いたようだ。又今回初めて知ったのだが、ゲイだったようだ。モ-ム自身はゴーギャンのような悲運な人生ではなく、米国で好評されるベストセラ-大衆小説家として、ほどほどな幸せな人生を送ったようだ。晩年、亡くなる前に認知症を患ったようだが。

モ-ムの顔写真 軍籍の頃はスパイをやっていただけあり、怖そうな顔